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LLP動物法務協議会関東ブロック > メールマガジンバックナンバー  > Vol.90

  ペットトラブル・ペットビジネス強力サポートマガジン バックナンバー

動物法務協議会 Presents 〜 Vol.90

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◆ ペットトラブル・ペットビジネス強力サポートマガジン        ◆
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 『ペットトラブル・ペットビジネス強力サポートマガジン』は
動物法務協議会が発行する動物関連のメールマガジンです。

 動物に関する裁判や事件、法令改正の情報や
ペットトラブルに関する記事、エッセイ等をお届けします。

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皆さんこんにちは。
私のところでは、電話での無料相談にも応じているのですが、
ペットに関するものがかなりあります。

その中でも、獣医師や動物病院に関するものも多く、
また相手を訴えたいといった切実な相談もありますが、
相手が動物の専門家である獣医であること、また、
判例も少なく、賠償額の算定などを含めて判断が難しい
ケースが多いようです。

そこで今回は、判例タイムズにも掲載された「ペットに
対する医療事故と獣医師の責任についての」の最新判例を
ご紹介し、ご参考にしていただきたいと思います。
(名古屋高裁金沢支部 H17.5.30)

<事件の概要>
 飼主Xがペットの犬(ゴールデンレトリバー、13歳)の
前足に生じた腫瘤について、Y動物病院において、腫瘤の
生検を実施しないまま摘出手術を受け、その後悪性腫瘍で
あることが判明し、約1ケ月半後に死亡した。これにより、
Xは、Yに対して、治療契約上の債務不履行責任又は
不法行為責任があると主張して訴えた。

<Xの訴えの主な趣旨>
1.悪性・良性を判定するための生検を実施せず、
  切除範囲の検討も為されないまま切除が行われ、
  そのために腫瘍を取り残したこと。

2.手術後に部位が悪化したにもかかわらず適切な
  医療措置を講じなかったこと。

3.本件の犬が老犬であるにもかかわらず、
  腫瘤が悪性である可能性や、良性だったとしても
  危険が伴う手術であったことなどを説明せず、
  そのため、Xが手術に同意せずに、ペットに
  穏やかな老後を送らせる機会を損失したこと。

4.手術後悪性腫瘍と判明したにもかかわらず、
  苦痛を与えないための安楽死の選択等について
  説明をしなかったもの。

以上に基づく説明及び注意義務違反により、治療費18万円、
抗ガン剤購入費11万円、慰謝料350万円、弁護士費用
20万円の合計350万円を請求したもの。

<判 旨>
 一審地裁判決ではXの訴えはすべて棄却されたが、
本件高裁判決では、下記のようにXの請求を一部認容した。

(1) ペットの治療契約上なすべき生検をなさずに
  本件手術をしたという治療義務違反があった。

(2) ペットは、財産権の客体というにとどまらず、
  飼い主の愛玩の対象になるものであるから、
  そのようなペットの治療契約を獣医師との間で
  締結する飼い主は、当該ペットにいかなる治療を
  受けさせるかにつき自己決定権を有するべきであり、
  これを獣医師からみれば、飼い主がいかなる治療を
  選択するかにつき必要な情報を提供すべき義務があり、
  また、その説明の範囲は、飼い主がペットに
  当該治療法を受けさせるか否かにつき、熟慮し、
  決断することを援助するに足りるものでなけれ
  ばならない。具体的には、当該疾患の診断、
  実施予定の治療方法の内容、その治療に伴う危険性、
  他に選択可能な治療方法があればその内容と利害得
  失などに及ぶものである。

<判決内容>
 本件において義務違反がなければ、手術を受けさせる
ことがなかったとして、治療費のうち、7万円を損害額と
して認定した。

 また、慰謝料については、本件ペットが老犬であり、
その交換価値がほとんど無価値であったと推認しながらも、
家族の一員であるペットに、大きな苦痛を与えることなく、
平穏な死を迎えさせてやりたいという心情に伴うXの自己
決定権は十分に尊重されるものであり、その意味において
Xの自己決定権が侵害され、早期の死により被った精神的
苦痛は慰謝に値するべきとし、金30万円と判断した。
なお、弁護士費用として、5万円の範囲で相当因果関係が
あると判示した。

 本件判決は、一審で全面的に棄却された内容を見直し、
獣医師の責任を明確に判断したことなど、つぎのような
意義がある判決だと思います。

1.動物医療においてもすでに指摘されているインフォー
  ムドコンセントについて、その内容についても具体的な
  判断を示したこと。

2.単なる動物としてではなく、コンパニオンアニマルと
  して、家族の一員を失ったという精神的苦痛に対して
  慰謝料を認定するという、動物愛護法の施行とともに
  徐々に広まってきた考え方を踏襲し明確に判断したこと。

3.ドイツ民法では、「動物は物ではない」とされ、
  その賠償額が動物の価格に制限することなく、治療費
  全体の賠償請求が可能となっているが、本件においても
  交換価値が皆無とされるペットの治療に要した費用に
  ついての賠償を認め、そうした方向性を導いたこと。

(文責:山屋孝裕 @クレオ法務行政書士事務所)




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